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Tham, L. X.*; 松橋 信平; 久米 民和; 長沢 尚胤*
食品照射, 33(1-2), p.33 - 36, 1998/00
化石燃料の排煙中に多量に含まれているZnやVなどの重金属は、植物の生育阻害を引きおこすことが知られているが、一部の元素を除いて植物に対する影響についての知見は乏しい。本研究では、Vによる植物の生育阻害及び照射キトサンによる障害抑制効果について検討した。水耕液にVを添加すると、コメ、コムギ、オオムギ、ダイズなどの植物に著しい生育阻害が認められた。そこで、金属のキレート剤として知られているキトサンを用いて、Vによる障害の抑制効果を調べた。しかし、水耕液にキサトンを添加すると、植物の生育阻害とくにクロロシスが生じることが認められた。照射キトサンではクロロシスの発生が抑えられ、水溶液中100kGy照射キトサンで生育が最も良くなった。照射キトサンを添加して栽培した植物体では、Fe含量の低下を防いでV含有を著しく低下させ、Vストレス下での植物の栽培に有効であることを明らかにした。
伊藤 均
食品照射, 33(1-2), p.51 - 55, 1998/00
食品の衛生管理、流通システムは昔に比べ著しく改善されているにもかかわらず、世界的に食中毒の件数は増大している。わが国でも食中毒は増大する傾向にあり、伝統的に最も多かった腸炎ビブリオ菌による食中毒がサルモネラ菌に取って代わり、病原大腸菌による食中毒も問題になっている。多くの食中毒はサルモネラ菌、腸炎ビブリオ菌、病原大腸菌、カンピロバクター、ブドウ球菌によって引き起こされており、室温での殺菌線量は1~3kGyで十分である。また、冷凍食品の状態でも2~5kGyで殺菌できる。カビ毒を産生する糸状態の場合も3~5kGyで増殖を抑制できる。
伊藤 均
食品照射, 33(1-2), p.47 - 50, 1998/00
1997年の現在、食品照射の許可国は41ヵ国に達している。香辛料等の照射は約30ヵ国で行われており、全世界で年間6万トン以上照射され、その半分は米国で行われている。食品照射を巡る国際的な動きは急激に変化しており、以下のようなことが注目されている。(1)臭化メタルの使用が2004年に禁止されるため(米国は2000年)、代替処理法として食品照射が世界の大勢となりつつある、(2)先進国で食中毒が急増しており、その対策として食品照射が注目されている、(3)10kGy以上の照射食品についても安全宣言がWHOによって行われた、(4)WHOの国際間貿易の協定では食品衛生はFAO・WHO食品規格委員会の勧告に従うことが明記されており、このことは国際間貿易で照射食品の流通を認めることを意味している。米国では食品照射の推進に積極的であり、わが国にも大きな影響が及ぶことが予想される。